―Spring選手、本日は優勝おめでとうございました。色々お話を聞かせて下さい。
そう言って私は、Xmasカップ優勝者であるSpring選手にインタビューの時間をもらった。
そもそも出場選手だった私がなぜインタビューをしているのだろう。俺はインタビューをされる側であったはずだ。
私自身がインタビューされた経験の話
今まで私自身は優勝者インタビューを何度も受けたことがあります。しかしインタビュアーとしてインタビューをするのは初めてかもしれない。自身の経験上の話だが、インタビューを受けるという事のは気の悪いことではない。
特にモンスト公式大会の扱いというのは決してメジャーなモノではなく、露出の機会も決して多くはない。そんな中で自分たちの戦いであったり、これまでのストーリーを公の場に出してくれるメディアさんというのはありがたい存在だからである。
ただ、大前提としてインタビュアーにもモンストならびにモンストスタジアムの知識があればある方がいいに決まっていると考えている。
今まで自分が受けてきた質問は
「賞金は何に使いますか?」などと言った多くの人にとって興味のない質問であったり
「チーム結成のキッカケはなんですか?」などがほとんどだった。
それは多くのモンストをやったことのない人に見てもらえると一見考えられた質問なのかもしれないが、モンストをやったことのない人にモンストの大会の話をしても興味を持ってもらえないことは、私自身がどこの誰より一番わかっている。シーンに7年いて得た学びの一つだ。
だから、私はモンストをやっているけど大会を見ていない人に、この大会で優勝するということがどれだけすごいことなのかというのが伝わるインタビューがしてほしいと思っていたし、そんな記事が書いてほしいと思っていた。
言い方を変えると、優勝についてはプレスリリースよりモンストニュースで取り上げてほしかったわけです。Yahooニュースに乗ったところで、モンストグランプリ出てみたいな〜!って人が増えると思わなかったからです。
ただ、インタビューは話し手が全て語らないという問題と、聞き手が理解できないという問題が存在するので、踏み込んだインタビューという話が、100%のレベルで叶うことはなかった。
だから、モンストスタジアムオタクがインタビューを行うべきだと常々思ってきました。もっというとインタビュアーの方も勉強をしてほしいなと思っていました。
ここで昔の中日ドラゴンズの話をします
私が好きだった落合監督政権の中日ドラゴンズは、マスコミへの対応が決して良くなかったという有名な話があります。それの理由として落合氏は「インタビュアーが勉強してきていないのに話す意味がないから」と答えたそうです。
そりゃマスコミというのは、面白おかしく伝えて人々を煽るのが仕事なわけです。野球くらいメジャーなスポーツであれば、「自分が野球を盛り上げる為にマスコミ受けをよくしてわかりやすく話そう!」なんて考える必要はないのかもしれないですね。話を聞いてくれる記者のことを、監督もありがたがったりしないのでしょう。
しかし、モンストスタジアムは野球ではないんです。なので取材を受ければ相手がどれだけ理解度が低かろうと話を極力わかりやすくして、喜んで話すわけです。
私は過去インタビューで
「あのラストのショットは、やはり難しかったですか?」
などと聞かれても「はい」とか「いいえ」としか答えてこなかった。
なぜかというと、聞き手のレベルに合わせなくてはいけないから。
「ここまで話しても伝わるだろうか?・・いや、、伝わるわけがない。」と自分の話にブレーキをかけて話さなくてはいけないんですね。規模の違う話ではあるが、モンストスタジアムが野球と同規模の人気を誇っていたら、僕もきっと勉強していないインタビュアーさんのインタビューは断っていたことでしょう。
落合監督も、必至に勉強をしていたインタビュアーへの対応はとても芯を捉えた話をしていたようですし、キャンプ取材などにOB選手がやってくるとレベルの高い話を聞き出していたように思います。
インタビューの出力レベル
解説やMCなどの場合、他にもテレビ番組などにお邪魔する際は、極力見ている人だれにでも伝わるように話すべきだと考えますが、メディアにもよりますがインタビューというやつに於いては、選手に万人に伝わる話を求めるインタビューの仕方では、正しく魅力が伝えられないんじゃないかなと思うようになりました。僕らがモンストグランプリの魅力を伝える上で、伝えたいターゲットは絶対にモンストをインストールしたことのある人だからです。
それは相手がどんなインタビュアーでも、モンストの中の人でもYouTuberでも同じなんです。
少し話せば実際にどれだけやっているか理解しているかなんて透けてみえてしまう。それがトップ層の選手ってやつなんです。
選手が相手のレベルに合わせて話す必要なんて本来あるべきではないと思うんです。だからプロ選手は同じレベルの話ができるプロ選手(もしくはそれに相応するレベルの人)と話すのが楽しいわけです。
野球選手も野球ファンと飯に行くより、チーム問わず選手同士で飯を食いにいく事の方が多いだろう。
私も元プロ野球選手と飯にいってお話をしたことがあるが、レベルを下げて話してくれててわかりやすくてありがたいなぁと思う一方で 選手の話の魅力の2%も引き出せてないよな・・・と思ったことがある。
100の出力で話してもらって、200の魅力が伝わるような記事が作ってみたい。
10の出力で話してもらって、40の魅力を伝えられるより、5倍の魅力が詰まった記事、という計算になる。
話は少し変わりますが、この記事を読んでくれている多くの人が、「柴田アナの実況って最高だよな」と感じたことがあるのではないでしょうか。
あの魅力の理由を説明すると、柴田アナはめちゃくちゃ熱心に大会の実況に向けて、モンスト・モンストスタジアムの勉強をしてくれているから だと思っています。
インタビュアーがオタクだとどうなるか
先程の
「あのショットは、、やはり難しかったですか?」
これがもしも聞き手がモンストスタジアムオタクだったらどうなるか
インタビュアー
「あのショットは、、やはり難しかったですか?」
キララ「
「いえ、ド派手ではあるものの、ショット自体は許容を持つことが多いんで決して難しいとは思いません。ただ問題は例外種です。初期位置が上から6,7,13番目のときですね。これの処理方法の発見に32時間かかりました。ありとあらゆる角度に打ってきたつもりだったんですけどね、右下5:22の方向に1Dずつずらしていったんですけどね。この辺って1D許容がめちゃくちゃ狭いんですよね。目印もダメージウォールが出るのでつけにくいですし。もうやったつもりだったんですけど、そこに1D眠ってやがりまして、それが唯一の正解でした。他の初期位置だったときのパターンと比べて大きくショットの角度が変わってくるくせに許容がそこだけ狭いですからね。本番ここを引かなければいいだけではあるんですけど、そういうのって引くんですよ。だから研究に時間をかけたことが大変でしたね。本番はクソほど許容があったので目瞑って撃ちましたので簡単ではありました。」
――となるわけです。
「こんな掘り下げた話、オタクしか読まねーよ!!!!」と言われるかもしれませんが、そこからがライターの裁量だと思うんですよね。上記の早口でオタクがいいそうな言葉を伝えやすい言葉で伝える。
そもそもオタクしかインタビューなんて前のめりで読まないんですから、これくらいの熱量で選手にはインタビューに答えてほしいと思っていますし、そもそも現在のトップ層のプレイヤーたちはこういうレベルでこのゲームと向き合っていることを正しく伝えたいので、モンストプロ初(?)のインタビュアーとしてインタビューをしていこうと思っています。
もっというと、こういうことがしたくて自分でサイトを作っちゃったわけですし。これでどこよりも泥臭く、モンストスタジアムの深い魅力を引き出すインタビューができるわけです。だって聞き手はあのキララさんですよ。
2023.12.23に開催されたMXT2023。
公式大会で行われるオープン大会としての初のソロ大会でした。今まで、有名配信者などを集めたクローズドの大会ではソロ大会はあったかもしれないけれど、オープン大会としては初の試みです。
プロ選手がエントリーする場合は、BEST64からのシード権がもらえるので若干有利であり、一般参加者はシードがなくBEST64のプロがいない枠・・すなわち 40人くらいの枠に応募者400人の中からスイスドローラウンドで勝ち残り、這い上がっていくことになります。
400人の応募があったそうですがさすがに400人はいませんでした。300人にも到底及ばない人数しかいなかったであろうかと思います。
64人に勝ち残ってからは、タイムアタック(以下TA)を行い 1位と64位・2位と63位・・が対戦するような形でトーナメントの位置決めが行われます。
ただしピックシステムがあるわけでもなく、対戦相手が選べるわけではないのでTAの優先順位は過去最高に低いです。
この大会・・プロだろうとそうじゃなかろうと、優勝するのは決して簡単ではない大会なんですね。
なぜこのクリスマスカップ、優勝がむずかしいのか。
要素は大きく分けて3つあります。
1つは、純粋に戦う数が多いことである。
BEST64からだとしても、優勝までに6戦。全てBO3(2本先取)なので、最大18回ゲームを行わなくてはいけない。
プロ選手じゃない場合は更に厳しい。スイスドローラウンドで上位に上がって、BEST64の切符を手にしなくてはいけないからだ。
決勝戦まで登る一般参加者がいた場合は、11戦行う必要がある。11連勝というのは、モンストグランプリで地方予選から優勝するまでの戦いの数より多い。
今まで優勝までの道のりが最も高かった大会が、モンストグランプリ2016になるが、それでも地方予選から合わせて10連勝(うち8戦がBO1 すなわち最大14戦)で全国1位になれる座組であった。
現在のモンストグランプリの規模であれば、上位2チームが予選通過できる会場から勝ち上がれば、最大5連勝で全国優勝できます。
2つめは、ソロ大会であるということ。
ソロ大会というのは、モンストグランプリと比較して、単純計算で4倍、担当手番が増えるということです。リードだけ難しいステージや、サードが圧倒的に簡単なステージ・・・そういう要素が各ステージや立ち回りによって存在するんです。シーズンやステージによって、ポジションの難易度は変わります。重みづけが全くポジションによって異なる。
そして、モンストグランプリでは、チームワークという要素が強く絡んでくるので、相手の進行具合の確認などを自分の手番ではないプレイヤーが行う事が多い。
俗に言う詰め作業、(いわゆる研究)も最大で4倍量必要になる。
4倍緊張するかはわからないけれど、4倍気が抜けないのは間違いない。それがソロの大会。
3つめは、ピックシステムがないこと。
ピックシステムがない、ということは戦略がほぼないということである。ベストパーティでの殴り合いである。
戦略はさておき、戦術だけの勝負になる。
「相手がヤクモをとってきたら、オニャンコポンとニュートンαを取って強制的にデビパンをリードにさせてやって相手の成功確率を下げてやれ」とか そういった小ワザは一切効かない。逆に言うと、モンストグランプリやプロツアーは小技の連続なのだ。
その小技で勝ってきてた私が言うんだから間違いない。
ピックがないというと準備のハードルは間違いなく下がっているのだが、そこに凄腕プレイヤーが存在する以上、勝つ難易度は上がっているのだ。
1つのパーティの練習をすればいいだけなのだが、編成を固めてしまったが最後 パーティ探しをする機会も減る。要は自分がベストパーティではあるが、相手もベストパーティなのだ。
例えば、シュリンガーラを9手でクリアするパーティを用意した場合、相手が8手でクリアするパーティだったらミスを祈るしかない。ピックで邪魔をすることもできない。
そういった戦略の用意が一切効かないのである。
相手が自分より速いパーティを用意していた場合、めちゃくちゃに早く撃って相手のミスを誘発するかゆっくりプレイして天に委ねるしかないのだ。
これは2017年から続くピックシステムを乗りこなしたチームが勝ち、プロになってきた歴史を大きくひっくり返す仕組みである。シンプルな殴り合い。
これらが今大会の特徴であると私は考えています。
今大会、私もプロとして大会に参戦していました。
結果はロゼプロ相手に1勝だけさせてもらい、BEST32にてHHPプロと対決し敗退。
試合内容としては両者ミスからのお粗末な試合内容で、「よく寝てて、もうちょっと運がよかったら1戦くらいとれたかもしれないな〜」程度の戦いであった。
前日一睡も出来ていなかったし、身体が明らかに疲れていたのでこの時点で帰っちゃおうかな、と思った。
自分がバトルラウンドに残ってない試合なんて、基本的には面白くないのでいる意味もないですから。
ただ、この大会で起きたことがすごい内容になるのであれば記事にしようと思って会場に残ることにしました。逆にクソつまらない内容だったらインタビューなんかせずに打ち上げも参加せずに帰ろうと思っていました。
・・・結果、朝までインタビューしたくなる時間となったのでした。
author:なんとかキララEL