―Spring選手、本日は優勝おめでとうございました。色々お話を聞かせて下さい。

インタビューの初手はこう切り出した。私は少しSpring選手の事を思い返していた。

思えば、彼のプレイヤーとしての原点は・・モンストジュニアグランプリ2019。

Springくんの歴史に思いを馳せる

@nswerというチームで出場していて、今より1ショット1ショットのリアクションが元気そうな少年だった。蒼弾の大盗賊ステージで、ラスゲの壁ドン進化ロビンフッドSSイレバンに泣かされた1人である。

Springくんのチームはジュニアグランプリ開催前からSNS上での前評判で「あそこは強い」と言われていたチームだったと記憶している。

実際に会場に現れた@nswerチームは、リードにガチャピンのコスプレをした少年がいたインパクトのあるチームだった。

そのJrGP、地方予選大会でBEST16、初戦敗退。

応援の量が他のチームより多く、Springくんは舞台上では負けた後も笑顔だった。しかし、試合後会場でとても凹んでいた。舞台の上では笑っていたがきっと誰よりも悔しかったんだろうなと感じたのを覚えている。

その後半年も立たずして、モンストグランプリに出れる年齢になった彼は、モンストGP2019関東予選の決勝戦にてCatsに敗北することとなる。

その頃からだっただろうか、Springはめちゃくちゃ上手い。という話がよく出るようになったのは。

僕の視点からだと、上手い要素はもちろんあるが、勝ったやつが強いという思考が強いので、負けてしまったら上手い上手くない以前に弱いんよ。と思って見ていた。

元々Jr勢とは言え、モンストグランプリのフィールドにあがってきたら年齢も先輩も後輩も関係ない。同じフィールドにいる以上は戦友だろうと知らんやつだろうとJr勢だろうと敵になりうる。

前評判が強かった事も相まって年甲斐も無く、学生あがりの少年をやけに評価をされている敵、として僕は評価をしていた。

そして、そのCatsにスカウトされる形で、モンストプロツアー2019のリザーバーとして参戦。ここでも前評判は強かった。

ただ、Catsのプロツアーの最終結果は6位。Spring選手はまた結果を残せなかった。

Springは最強か?

モンストグランプリ2020は、コロナ禍ということで開催されなかったのだが、私とKEVINプロ主催で モンスト置き物グランプリ という大会をほぼ毎週開催した。

あと一歩のところまでいつもやってくるのだけれど、、第6回大会で準優勝 そして第13回大会で途中代打として優勝−と良い結果を出す人たちではあるものの、決して最強ではなかった。

チャット欄にいつも wpとかいうどこの誰ともわからん視聴者がいらっしゃって

Spring最強!Spring最強!Spring最強!!」とコメントを残していくのが通例行事となっていた。上手いのだけど、最強とは言えない戦績ではあった。

この頃から、僕は勝手に「上手いという評価を受け続けることと、ナンバーワンになれないSpring選手の葛藤」を少し気にするようになっていた。

帰ってきたモンストグランプリ

コロナ禍も終わりの兆しを見せてきて、モンストグランプリ2021が開催された。全員がマスクをつけて登壇するという不気味な大会だった。

そんな中でSpring選手がリーダーになった新チーム「きまぐれクリテイカル」というモンストJrグランプリ勢と置き物グランプリでの出会いを掛け算したようなチームは、また地方予選で敗退してしまう。

彼らが出場したモンストグランプリ2021の中部予選は実質1年越しのプロツアーの延長線とも言えるような面々が揃っており、そこを超える壁はめちゃくちゃに高かった。だが、ここでも結果は最高の結果とはなっていなかった。

余談ではあるが、モンストグランプリで決勝大会という舞台を経験できずに地方予選にチャレンジし続ける人の平均界隈寿命は推定2シーズン以下である。(あくまでも推定値 TAで落ちているチームの情報がないので) 要は結果が出なかったら、「こんなゲーム向いてない!勝てない!つまんない!やめちまおう!」となって大会へのチャレンジを辞めることが多いからだろう。

そんな中で2019年の春からコロナ禍を挟んでもまた、Spring選手はまたチャレンジをしてまた負けてしまった。

俯瞰的に観ると、Spring選手は全然最強じゃない。 Spring最強!とは名前負けである。

最強のリザーバーには勝運がないのか・・?

そのモンストグランプリ2021、そんな置き物グランプリ勢からプロチームが産まれた。ミラノ風カルボナーラというチームだ。

モンストグランプリ2021で全国準優勝という結果を残したミラノ風カルボナーラは、プロチームとなり、モンストプロ大会への参加権を得たのだ。

モンストプロツアー(プロリーグ)は、5人で戦うのだが、プロチームにプロプレイヤーが3人以上いれば、あとは誰でもいいですよ というルールになっていた。基本的には4人はプロ選手がいるので、1人プロ選手じゃなくてもリザーバーとして登録できる形になる。

そんなミラノ風カルボナーラの5人目として登録されたのが、Spring選手だった。

Spirng選手は、Jrグランプリを含めると5シーズン目の戦いとなる。そろそろ最強と言われてしまうからには、結果が欲しいところ。

そして、約2ヶ月に渡る激闘の上、最終的にこのシーズンを制覇したのは1年前に5人目として所属していたCatsだった。

彼は一体どんな気持ちになっただろうか。そんな事を考えたり考えなかったりしたが

Spring選手を迎えたミラノ風カルボナーラは、ファイナルラウンドに駒を進めることもできなかった。

プロライセンスまであと1歩が足りない。

コロナもそこそこに終わりの匂いがした翌年のモンストグランプリ2022。きまぐれクリティカルは、また懲りずにモンストグランプリに現れた。

この年は関東予選を制し、決勝大会への切符をついに掴んだ。彼らは経験も十分と言える域に達しているが、結果がただの一度もナンバーワンじゃない という状態がずっと続いている。

彼らに、僕がいつか手にしてほしいと思っていたたのは、プロライセンスだった。

プロライセンスさえあれば、プロツアーでまたチャレンジができる。

2022年のモンストグランプリは、全国上位2位にプロライセンスが与えられるという座組だった。

彼らの最終順位は、全国3位だった。あと1つプロまで足りなかった。

最強と名高いSpring選手のミスも一つの要因となり、準決勝で敗北してしまったのだ。

去年よりも一昨年よりもずっといい成績を取ったわけだが、Spring選手はまたSpringは最強にはなれなかった。

この年、モンストグランプリを制したのは 彼が5人目として属していた昨年度準優勝の ミラノ風カルボナーラであった。

・・・俺ならストレスでどうにかなっちまいそうだ。

そしてこの年の暮れに行われたモンストプロツアー2022も4,5人目として、ミラノ風カルボナーラにSpirng選手は招聘される。

この年のミラノ風カルボナーラは超全1を目指していた。(超全1とは、モンストグランプリとモンストプロツアーを両方その年に制覇した全1(全国1位)を超えた存在 どっかの誰かが2018年に調子こいて造語した)

このシーズンのミラノ風カルボナーラのメンバーは、ミラノ風カルボナーラのオリジナルメンバー3人と、きまぐれクリティカルの2人。(Spring、らせつ)

彼らは、初代超全1の今池壁ドンズα相手の決勝大会の決勝戦を制し、ついにSpring選手は1等賞を取った。

この時点でSpringは最強だったのか。

優勝したからたぶんほぼ最強なんだけど、まだプロライセンスを手にしていない。

やっと手にしたプロライセンス。ただ最強にはなれなかった。

そして翌年、ついに彼の夢は少しだけ前に駒を進めることとなる。

Spring選手は、自身のチームである きまぐれクリティカルというチームで、モンストグランプリ2023も順調に決勝大会を駒を進めた。

モンストグランプリ2023では、全国4位以上であればプロライセンスを獲得できるという座組になっていた。

ーーそしてこの年、やっとプロライセンスをSpring選手は手にすることとなる。

ただ、結果は4位だった。

チームを引っ張って来ながらも、最後に自分のミス起因で負けてしまう。そんな自分を毎年責めているような気がする。年々前評判に追いつくような結果がついてきている気がする。 めちゃくちゃ上手いけど、なにか最後の詰めのようなモノ・・なにか1ピースが欠けているのか。

まるで神から「まだ優勝する器じゃない」と言われ続けているような感じ。勝運が1つ足りない。そんなイメージを彼に対して持っていた。ただ、それらが噛み合えばバケモノみたいになるんだろうな・・。とでも言えばいいのでしょうか。

それが噛み合ったのが、プロとして初の舞台でもあるこのクリスマスカップだった。

author:なんとかキララEL